投資や保険のことがさっぱりわからない人のための金融基礎
突然ですがみなさん、投資してますか?どんな金融商品を買っていますか?そもそも投資ってなんだか知っていますか?
「株とかFXとか、聞いたことあるけどやったことはないから、投資はしてないな」と思った方、もし貯蓄(積立)型生命保険に入っていれば、それは立派な投資です。
さらに言えば、銀行に預金がある人も、広義でいう投資をしていると言えるでしょう。
そんな金融世界の「投資」というワードは、実は日常生活と非常に密接に関係しています。しかしながら多くの人は(言葉を選ばずに言うと)残念ながら非常に金融リテラシーが低く、自分の資産を守ることも危うい状態です。
以下を御覧ください。
出典: http://www.garbagenews.net/archives/2288638.html
タイムリーにも、主要国の家計資産の構成比率をグラフ化してみる(2016年)(最新)の記事にて、各国の資産構成グラフをまとめてあったので、拝借させて頂きました。
日本は現金と預金の割合が圧倒的に多いです。次いで保険・年金が多いですね。この構成は韓国と似ていますが、ドイツも近いのは個人的には意外でした。金融大国アメリカは圧倒的に株式投資の割合が大きいです。
ぶっちゃけこれ自体が悪いという話では全くありません。しかしながら、お金について何も知らない人が、わけも分からず右に習えで預金しかしない、投資信託を買ってみる、生命保険に入る、なんていう地獄のような状況は避けた方が良いと思っています。
資産として、現物だけでなく株や投信、証券などが並ぶように、我々は様々なカタチのお金を扱うことができます。しかしほとんどの人は、そういったカタチのお金へのアクセスや取り扱い方を知りません。
驚くべきことに、例え東大を出ていたとしても、こういったお金の仕組み、金融知識が全くない人がたくさんいます。逆に、高卒で叩き上げの経営者の方が、よっぽど詳しく語れるものでもあります。
念を押すと、別に預金が駄目だとか、投資が素晴らしいとかを啓蒙したいのではありません。お金というものの価値は不変ではなく、そのカタチも色々ある中で、ただ無知ゆえに資産を守れないのは良くないと考えています。
今日は、そんな金融知識ゼロだった頃の自分が、金融業種を経てから当時を振り返って「あの時これを知っていれば」と思っている、超基本的な金融のお話をしたいと思います。
目次
1. あなたの資産、1ヶ月で1割以上減ってますよ
突然ですが、このチャートを御覧ください。
これは某証券会社が提供しているFXアプリのドル円ペアの為替チャートです。見慣れない方もいるかと思いますが、とりあえずこういった形のチャートで為替推移を見ることが出来るということを覚えてください。
さて、今年11月9日と言えば、大統領選の結果が発表された日ですね。この日、ドル円は一時101.2円以下まで急騰した後に急反発しました。
これはこれで興味深いんですが、円はその後単調に円安方向へと進み、現時点で約115.2円まで円安になりました。
この状況が示すことは、日本円を黙って銀行に預けていたあなたの資産は、(ドルベースで)1割以上減ったということです(1-(102/115)=約11%)。つまり、300万の貯蓄があった場合、30万以上の価値を失ったことになってしまったのです。そう、ドルベースでね(しつこい)。
まあこれはちょっと意地悪な考え方でもありますが、真実です。
例えば、もし日本中であなた以外が為替リスクのヘッジ(為替が変動することによる資産・投資の影響をなくすような取引のこと。この場合は厳密にはヘッジとは言わないが、円を全て米ドルに替えるとする。)を行っていた場合、周りの人は全員あなたよりも資産が増えるため、あなたの資産が相対的に減ることになります。
まさか投資をしていないことによってお金が減るなんて、一体何が起こっているのでしょうか。いいえ、お金なんてものは元々そういうものなのです。
我々は、お金の価値は不変ではなく、変動するものだということを学ばなければなりません。そしてそれを踏まえて、資産を減らさない、もしくは増やすような投資をしていく方が、タンスにただしまっておくよりも、将来的に一番安全なのです。
2. 「それ、野◯に聞いてみていいの?」
すみません、僕はもうかれこれ8年近くテレビをほぼ見ていないので詳しくはないのですが、某証券会社のCMです。
まず始めにとても大事なことを言うと、金融業界は情弱を情強が食らう世界だということです。例外はありません。
そして、証券会社なんかは、これまたどこも例外なく個人投資家を食らいにいきます。◯◯証券だから特別なんてことはありません。
これは、金融商品の仕組みが複雑だとか、価格予測が難しいとか色々ありますが、単純に無知な人からはいくらでも金をむしり取れるためです。知識はお金だったんですね。
もしあなたが投資に関するオイシイ話を投資のプロから持ちかけられた時、まず聞いてみましょう。
「そんなにオイシイ話なら、何故あなたがやらないの?」
何故かは実際のところ色々理由があって、コンプライアンスであったり資産状況であったりしますが、1番の理由はリスクがあることです。
金融業界でのリスクは、一般的に言う悪い意味のリスクとはちょっと意味合いが違うのですが、この場合は悪い方のリスクを顧客、つまり金融商品の買い手が負担する形で売られることがほとんどなので、証券マンなどは自分では買わないのです。(もちろんたまにリスクを加味して買っている人も居ます。)
もちろん、金融のプロに相談するのは全然良いことですし、下手に生半可な知識を付けて市場でボコられるよりは、味方にした方が心強いことは疑いようもありません。
しかしながら、タダでオイシイ話はないように、親身になって資産の相談に乗ってくれているということは、それ以上のうま味があるのでやっているということを念頭に置いて、上手く付き合っていくことが重要です。
3. 生命保険という金融商品の罠
みなさんは、生命保険に入っていますか?
生命保険というと、保険と名が付くので投資と思われない方もいらっしゃるでしょうが、立派な金融商品ですし、冒頭でお話した貯蓄型生命保険なんかはれっきとした投資です。
先に言っておきますが、投資の観点から、若くして(20代から30代前半)生命保険に入るメリットはほぼ皆無です。独身であれば尚更です。
生命保険は、その名の通り自身が死んだ時に保険金がおりる仕組みなのですが、その仕組み上、もちろん保険金の価格が保険料に織り込み済みなので、その分普通の投資より割高になります。好きなタイミングで引き落とせないため、機会損失にも繋がります。
そもそも、死んでからのお金を考える必要がある人が、一体どれだけいるのでしょうか。とんだお人好しか情弱がほとんどです。
しかしこの金融商品、なんと日本で大人気でありまして、生命保険に関する全国実態調査(27年度)の世帯加入率(個人年金保険を含む)調査結果では89.2%(前年度90.5%)と、年々減ってはいますが、依然として高いです。
ちなみにアメリカは4割程度で、ペット保険の約25%よりも多いぐらいなので、日本が異常に生命保険好きかわかりますね。
と、ここまでまくしたてましたが、実際のところローリスク投資としては、貯蓄よりも利回りが良いため、一般人にとってそこまで悪い商品ではありません。リスクを取りたくないならば、タンスや銀行に預けっぱなしよりは、まだ投資価値はある商品と言えるでしょう。
むしろ、ここまで生命保険の加入率が高い日本こそ、世界に誇る投資大国と言えるのかもしれません(遠い目
4. 金融基礎用語集
さて、ここまでちょっとしたトピックについて述べましたが、以下は金融用語の解説です。
詳しい話をすると、一つ一つの用語で記事が書けてしまうので、僕なりにわかりやすいと思うポイントだけ載せます。間違い等あればご指摘ください。
以下、思いついた順に書いているため、順不同。
基本編
投資
将来的に資産(資本)を増やすために、(現在の資産から)資本を投じる活動。長期的視点で考えることが多い。投資先はお金だけじゃないので、自己投資もしていこう。
トレーディング
取引そのもの。中短期の取引で儲ける時は、投資よりもこっちを使う雰囲気がある。
投機
投資と違ってギャンブル的要素を持つものを投機と呼びたい人が一定数いるが、ぶっちゃけどうでも良い。けどお客さんには投資って言う。
資産
現金や預金、金融商品などをかき集めたもの。人脈こそ最大の資産と言うのがマルチやネットワークビジネス。出会いと環境に感謝!!!
資本
お金。またはそれに準ずるもの。投資に用いる時に使うお金みたいなニュアンスもある。
簿価と時価
- 簿価:買った時の価格。
- 時価:今売ったら、の価格。売れるかは別。
有価証券
お金的価値のあるもの。株、債券、小切手、手形など。
キャピタルゲインとインカムゲイン
- キャピタルゲイン:株価などの上昇によって得られる利益。
- インカムゲイン:株の配当金や債券の利回りなどで得られる利益。
株式会社
株式を発行して得られた資金を資本として活動する会社。株式会社では株主のものなので、株主が一番偉い。社長なんて飾りです。無知な人にはそれが分からんのです。
上場
主に株式市場で売買できるようになることを指す。巷で話題のIPOとはまさにこのこと。
- 一部上場:東京証券取引所市場第一部上場という意味で、決して会社の一部だけ上場していたり、いつか全部上場するなんてことはない。
株価指数
- 日経(日経平均株価):日本経済新聞社が出している株価指数。日経225。日本を代表する企業がこの指標に組み込まれているが、なんのことはない、日本経済新聞社によろしくやってくれる企業が選ばれるだkうわなにをするやm(ry
- TOPIX:とかもある。
日銀
日本銀行。いわゆる銀行の銀行。お金を刷れるので、本気を出せばハイパーインフレを起こせるが、まだ起きていない。
- 日銀砲:日銀が為替介入を行う行為を揶揄した呼び方。
量的緩和
日銀が錬成した大金を叩いて、銀行から国債を買いまくること。銀行はお金がたくさん増えるので、たくさん投資ができるため、たくさんのお金が回ってみんな喜ぶと思いきや、投資できる相手がいなかった。
取引所
- 東証:東京証券取引所。株取引。
- 一部市場:一応厳しい審査のもと上場できる市場。◯芝さんとかが生き残っているのもこの名前のお陰といえる。
- マザーズ:新興市場とも呼ばれ、まずはみんなここを目指す。乱高下する株が多いためギャンブラーが集まる。
- 大証:大阪証券取引所。債券、オプション取引。
ファンド
投資専門の法人。資金をあちこちから集めて運用し、それを出資者に還元する。自己資産でやったり、有志を募ってやるファンドはプライベートファンドと呼ぶ。
トレーダーじゃなくても「ファンドマネージャーです(キリッ」とか言うとモテるので、みんな見栄を張る。
GPIF
年金積立金管理運用独立行政法人。日本最大のファンドであり、若者の未来を奪っているラスボス。
原油価格
日本は輸入大国なので、原油価格が上がると長期的には本来苦しいはず。しかし日経平均は何故か上がったりするので相場は不思議である。
金融商品編
株
株式会社の株式。持っていると株主になれる。会社の価値で株価が変動するため、価値が変化するお金ともいえる。上場していれば証券取引所で(ある程度)好きに売買できる。
ストック(stock)、シェア(share)、エクイティ(equity)
- 配当金:
株を保有していることで定期的に得られるお金。設定していない会社もある。 - 株主優待:
株を保有していることで得られる特典。設定していない会社もある。
先物
先物取引とも言い、金融商品としては株よりも一次元上のものと言って良い。取引の仕方は信用取引と似ているが、そのスキームは、ある原資産を、ある期日に、現時点で取り決めた価格で取引するといったものである。
例えば、原油を3ヶ月後に50ドルで買う契約をしたとする。先物の大きなメリットの一つは、この3ヶ月の間に原油価格がいくら変動しても50ドルで買うことができるため、物価に左右されないキャッシュフローの管理ができるということだ。
また、現物と違い差金決済なので、売りから入ることもできる。オプショントレーダーはオプションのヘッジに日経先物を売買したりするため、市場原理と反して先物価格がガンガン動くこともあるが、個人はそれを知る由もないため息をすることもなく死ぬ。株式市場の10倍ヤバい市場。
原資産
先物の価格対象となるもの。先の原油や米、大豆などの実体のあるものから、日経平均などの指数まで、その対象は様々。
債権と債券
債権:お金を貸した時に、返済を請求できる権利。
債券:金融商品。お金を返済してもらえる権利を証明する、言わば借用証書のようなもの。これがあると、額面通りのお金(もちろん利子付き)を返済してもらったり、期間毎に利子を受け取ることができる。市場で売買もできる。
- 関連:国債、社債
- 英語:ボンド(bond)
投資信託
投資を専門家に任せるための商品。小口の個人投資家でも一口十数万円から投資できるように作られた金融商品。
様々なバリエーションの投信があるが、内部的に手数料を二重に取られる構造になっていたりと、表面は美味しそうでも中身はクソなものがほとんどで、金融商品の中でも情弱向け。だが、少額で分散投資をしたいなら避けられない商品かもしれない。
為替
本来の意味は、手形や振込等、現金以外の方法で決済を行うこと。円高ドル安などで語られる為替については、ある通貨ペア同士の両替としての意味合いで使われる。
- 通貨ペア:ドル/円、ユーロ/円などの各種通貨のペア。ドル/円ペアの場合は慣習としてドルをベースとするため、1ドル115円のように表記する。
- 円安ドル高:ドル/円という通貨ペアにおいて、円の価値がドルベースで下がること。
例えば、1ドル100円から1ドル200円になった場合、表記上円の値が増えているために、円高と思ってしまいがちだ。しかし実際は、今まで1ドルで100円しか貰えなかったのに200円貰えるようになっているので、今までの2倍貰えていることから、円の価値は半額になっているといえる。
FX
外国為替取引にレバレッジ(レバ)をかけて取引すること。
今はアルゴが台頭していて、個人はどうあがいてもほとんど勝てないので止めた方が良い。
保険
保険金を支払うことで、ある損失が発生した際に補償金が貰える仕組み。保険屋が儲かるような保険商品を設計する人をアクチュアリーと呼ぶ。
生命保険なんてどう転んでもほとんど儲かるので、某社のやり手営業マンたちは若くしてウルフ・オブ・ウォールストリートの世界をリアルで歩む。
ETF・インデックスファンド
指数に連動する上場投資信託。一般的向けにはパフォーマンスが安定しているためオススメされる。
REIT
リート。いわゆる不動産投資信託。不動産投資の利益を還元する商品。
ビットコイン
巷で話題の仮想通貨。新しい技術が新たな通貨を生み出し、世界がパラダイム・シフトを迎える局面に我々は立ち合っている。
デリバティブ
先物のさらに一次元上の商品で、株を原資産とした先物を買う権利を売るなど、権利を売買する仕組みなどを始めとした、数多くの複雑な金融商品が作られている。見た目はケーキで中身はからしな素敵な商品を設計するのがクオンツ。
例えばオプションの例だと、あなたはA社から、りんご1個を50円で買う権利を1円で買えるとする。りんごは時価51円/1個なので、この権利を1円で買ってりんごを売っても、利益は発生しない。
ところが、一週間後りんごに知られざる若返りの効果があることが判明し、時価500円/1個となった。この時、あなたはA社から50+1円でりんごを買うことが出来るため、莫大な利益を得られる。しかし、りんごを仕入れて売る手間が面倒なので、この権利を売ることにした。権利は元々1円なので、α:経費等として、
500-50-1-α=約400円(ざっくり)
近くまでは高値で売られる可能性が高いため、この時のリターンは実に400倍となる!
オプションは上記の性質上、先物市場のさらに10倍以上ヤバく、オプショントレーダーでパフォーマンスを発揮する人は天に愛されていると言える。
- ストックオプション(SO):株を決まった価格で買うことが出来る権利。オプションという金融商品の1つ。ベンチャー社員が欲しがるやつ。
- コモディティ:金や原油、コメなどを対象にする商品。
- プット、コール、etc.
小切手
現金に替えることの出来る紙。銀行にいって換金できる。換金できないことを不渡りという。
手形
お金を指定期日に払うことを証明する証書。ナニワ金融道では融資(借金)の際に頻繁に用いられる。
例えば100万を年利20%で借りた場合、借り手が10万の手形を12枚貸し手に振り出す。借り手は毎月(指定期日に)12万の支払いを行って、振り出した手形を一枚ずつ買い戻す。
投資・取引編
利回り
どのくらい儲かるか。大抵の場合は年利。平均利回り10%などと言う。利率。リターン。
現物(現物取引)
モノホンの株のこと。また、その株取引。今でこそ電子だが、株も昔は紙だったころの名残。現物は本物の株を取り扱うため、差金決済が出来ないなどの制約があるが、手数料が安い。
信用(信用取引)
一定の保証金を担保にレバレッジ取引(大体は3倍まで)ができたり、差金決済ができるために1日に何度も回転取引できたりする。また大口の取引は手数料が安い。
- 空売り:株を持ってなくても誰かから株を借りてきて売ることができる、信用取引の一種。もちろん借りたものは返さないといけないので、空売りした株はきちんと下がったところで買い戻して、持ち主に返そう。
- 二階建て:現物を担保に信用取引を行う諸刃の剣。アドレナリンはめっちゃ出る。
アルゴ
アルゴリズム取引。要はあるパターンなどに従って自動で取引すること。自動取引。
HFT
超高速取引(High Frequency Trading)。1円以下の単位の取引を秒間何千と行い、利益を荒稼ぎする。個人は死ぬ。
パッシブ運用とアクティブ運用
- パッシブ運用:国債などの安全資産の利回りを目標に運用する。ローリスク・ローリターン。
- アクティブ運用:パッシブ運用以上のパフォーマンスを目指して運用する。ハイリスク・ハイリターン。
パフォーマンス
投資などによる資産運用の成績。アイドルの演技とはワケが違う。
個人と機関
- 個人:個人投資家。トレーディングで食べてる人を専業とも言う。
- 機関:機関投資家。証券会社や投資銀行、ファンド。
ボラティリティ
価格変動の激しさ。ボラ。
トランプショックの時の市場のボラはハンパなかったため、個人どころか機関もいくつか逝ったと思われる。
ポートフォリオ
投資している金融商品の構成。モダンポートフォリオ理論とい、安全資産+互いに相関のない銘柄で運用するとパフォーマンスが良くなるという、ノーベル賞も受賞した有名な理論がある。
5. まとめ
いかがでしたでしょうか。金融のこと、投資のこと、少しはわかりましたか?
この記事を読んで雰囲気を掴んで頂ければ、あとは個々のワードをさらに掘り下げて頂ければ、世界の動きがぐっと理解しやすくなりますよ。
もちろん、自分の資産を守る・増やすためにも役立つので、是非興味を持って調べてみてください。