フォワード取引の実現に為替スワップ取引が用いられる理由
金融系の本を読んでいると、為替取引について、以下の3つの取引を目にします。
① スポット取引(直物取引)
② フォワード取引(先物取引)
③ 為替スワップ取引(直先取引)
これらの3つの取引内容に関してはここでは詳しく述べませんので、それぞれリンク先を参照してください。
さて、本にはよく**「銀行などが為替リスクをヘッジするために、スポット取引と為替スワップ取引を同時に行うことで、フォワード取引のみを残す」ということが書かれています。
為替スワップは、内部的にはスポットとその反対のフォワードを同時に行うことなので、為替スワップの反対ポジションのスポット取引を行うことで、フォワード部分が残るというわけです。
しかしながら、ここで何故フォワード取引を行わず、わざわざ為替スワップとスポットを組み合わせるのかという疑問が生まれます。銀行が顧客からのフォワード取引をヘッジしたい場合は、単純にそれと反対のフォワード取引をしておけば済むはずです。
しかしこれは、市場の需給の問題で説明ができるのです。
つまり、市場ではフォワード取引をしてくれる相手が非常に少ない**ために、簡単にヘッジを出来るような環境ではないのです。そのため、フォワード取引よりも盛んに行われるスポット取引と為替スワップ取引を利用して、これらを同時に行うことで、フォワード取引を実現していたのです。
市況などを考えるとごく当たり前のことなのかもしれませんが、本だけではなかなか気付きづらいところですね。